高尾山に登ってきた

ヤマノススメという漫画とアニメの影響を受けて早3年。

ようやく高尾山に登ってきました。友達と2人で。

 

7月4日(水)

地元の友達が遊びに来るので、何をしようかとskypeで話をする。

そもそも目的がないまま来てもらうのはあまりにも申し訳ないので、何をするか考えていたところ、高尾山という単語が出てきたため、候補に入れる。

新宿より西という知識しかないけど、たぶん大丈夫だろうと軽い気持ちで考えていた。

 

7月5日(木)

流石に当日になってグダグダになるのはよくないので行き方を調べた。

京王高尾線というなんとも高尾山に行きそうな名前で行くことを知った。

しかし、どうにも行き方によって片道の値段が全然違う。なぜだろうかとさらに調べていると「高尾山口駅」と「高尾山駅」があり、「高尾山口駅」は山の麓にあり、「高尾山駅」は山の麓にあるケーブルカーで上った先にある場所のことを言うらしい。

ヤマノススメではケーブルカーを使っていなかったため、今回は高尾山口駅までの行き方を覚えればよいのであった。

 

7月6日(金)

ニュースでは関東に台風が近づいているため、金曜日夜から土曜日にかけて雨が降る予報だった。雨が降れば別な予定をこなせばいいだけなので、特に心配をせずに、最終の便で来る友達を迎えに行った。ピザを食べたいと言っていたので、帰りにピザを買って帰ったら、日付が回っていた。

 

7月7日(土)

家に着き、これまた地元にいる友達と通話をしながら買ってきたピザを食べながらゲームをする。気が付いたら午前5時になっていた。実は明日高尾山に登らないで、いつも通りにパチンコ屋に行くんだろうなって思っていたが、思っていた以上に友達が本気で登ろうと考えていたので10時に目覚ましをセット。就寝。

 

目覚ましが鳴り、不十分な睡眠時間に若干の苛立ちを覚えながら起きると、すでに友達は目覚めていた。俺が起きる2時間前に目が覚めていたらしい。

まずは朝ごはんに買っておいた日清のワンタンスープを飲む。前回友達が来た時に出したところ、大変気に入ったらしく、その日以来ほぼ毎日飲んでいるとか。

 (前回友達が来た記事はこちら)

mdhm.hatenablog.com

 

あまり時間をかけずに家を出る。基本スイッチが入ると行動まではそんなに時間はかからない。JR線で新宿駅まで行き、京王高尾線の準急に乗る。問題は全くなし。

くだらない話をしながら、だんだんと電車内の人が少なくなることで都会から離れていることを感じつつ、高尾山口駅に到着。

予想をはるかに上回る緑の多さで少し地元を思い出す。

天気は曇り。絶好の登山日和だ。

ヤマノススメでは1号線を登っていたため、同じルートを登る。あんなか弱い女子高生が登っていたんだから俺たちに登れないわけがない。初めは俺も友達もそう思っていた。

しかし、歩き始めて10分ですでに急な坂を上り始める。聞いていた話では、舗装されているから歩きやすいと聞いていたと思っていたが、記憶違いだったのか。コンバースの底から直に地面の砂利の感覚が伝わり、疲労がすぐに溜まってくる。加えて、前の日に雨が降ったのか、湿気にすぐに反応し、汗が湯水のように溢れ出てくる。もちろん、軽い気持ちで高尾山に登ろうと言い出したので、汗を拭くためのタオルなど持ち合わせていない。もちろん喉が渇いた時の水分もあるわけがない。朝に食べたワンタンスープと京王高尾線に乗る前に飲んだサイダーしかエネルギーになるものがなかった。

歩き始めて30分が経過。相変わらず10秒に1回は笑うようなくだらない話が続き、汗をかき続けた。しかし、ここまでくると愚痴もぽろぽろ出てくるようになった。

「あおいちゃん(ヤマノススメのキャラ)は結構軽々と登ってたけど、どう考えても若さがあるからだよな…」

「インドア派だと思っていたのに意外と体力あるよな…」

「というか最初登ったのは天覧山だったよな。高尾山じゃないじゃん。」

「あおいちゃんは割とクズなところがあるから共感持てる。」

「最近のあおいちゃんがマジで可愛い。久しぶりにツボにハマったキャラだ。」

等と、2人とも主に漫画に対する意見を述べ始めた。

登り始めて40分、上から降りてくる人とすれ違うたびに殺意を覚えながら、ようやくケーブルカーで降りることができる高尾山駅まで到着。アニメでも登場しただんごを食べながらいったん休憩。雨に濡れたように汗をかいていたので、高尾山タオルを買って汗を拭く。タオルはすぐに汗を吸わなくなってしまった。

歩いていると中学生が募金活動をしていた。頑張っているなーと思いながら通り過ぎようとしたところ、友達がいきなり「うわっ!!!」と言い、中学生と目が合ってしまう。俺は内心「oh...shit」と思いながらやれやれと募金をした。

いいことをした後は足取りが軽く感じた。実際には平坦が続いたのでこれまでよりも楽に感じた。パワースポット毎に写真を撮りつつ、登る。登る。

「こいつら涼しい顔しながら登ってるけど、絶対にケーブルカー使ってるよな」

「今日何度目それ言うんだwwwwww」

 

登る。登る。

 

登る。登る。

 

 

ついに

 

山頂に。

 

 

よくアニメで、山頂や開けた場所に出ると、開放感と壮大な景色が広がっているのが定番で、そこで主人公が感動をするというシーンがある。

これまではそのようなシーンを見てもなんとも思わなかった。

しかし、今回山頂に到着したときに、これまで感じたことのない感動を覚えた。

軽い気持ちで登り始めた高尾山。途中愚痴もこぼしながら登った高尾山。ケーブルカーから降りてきた人を横目に登る高尾山。汗だくになりながら登った高尾山。

登ってきた過程が走馬灯のようにすべて思い出され、達成感が込み上げてくる。本当は頂上に来た時に何かボケをかまして笑いを取ろうと考えていたが、そんな考えは疲労と一緒に吹き飛んだ。達成感が駆け巡り、やってやったぞと言わんばかりの嬉しさしかない。

山頂からは富士山が見える場所もあったが、曇天なので見えず。

「こういうところって俺ららしいよな」

「わかる。愚痴ばっかり言いながら登ってきたんだから、綺麗な心がないとこういうのは見れないよね」

休憩を兼ねて友達はかき氷を注文して、一緒に食べた。イチゴ味のかき氷。何年ぶりに食べただろうか。シロップの甘ったるさがより一層安っぽさを演出する。だけどそれがいい。頂上に登ったという達成感がかき氷の安っぽさを記憶に残る一品に変えてくれる。

休憩も一段落し、降りる前に、仲間内に登ったことを証明するために山頂と書かれた柱を背にして自撮りをしようという話に。

男同士で自撮りは恥ずかしいが、記念になると思い、柱の前でスマホの写真を用意する。…と、ここで

「シャシン、トル?」

声をかけてきたのは外国人の男性。

「おー!イエス!イエス!」

「センキュー」と言いながら俺のスマホを渡す。

「one,two,three」の合図とともにシャッター音が鳴る。「one more」と、さらにもう一度。

また「センキュー」と言い、カメラを受け取る。次にやることはもちろんわかっていた。英語は聞き取れなかったが「自分も同じように写真を撮ってくれ」と言っていたに違いない。心では通じ合っている。なぜなら同じ高尾山を登ってきているのだから。

相手のスマホを受け取りながら心を込めて「オーケー」と言った。

俺も撮ってもらった時と同じように「ワン、ツー、スリー」でスマホのシャッターを切る。もちろん同じく「ワンモア」も忘れずに。

2枚写真を撮り、スマホを返す。「オーケー、センキュー」と言い、俺たちは山を降り、男性は頂上の空気を味わった。

降りている最中、友達と写真を撮ってもらったことについてずっと話をした。

「俺さ、すごく嬉しかった。外国人って結構ノリがいいと思っていたけど、本当にノリがよかったなんて」(洋画をたくさん見ているため、外国人=ノリが良いと思っている)

「ホント俺も嬉しかった。しかも向こうから写真を撮りましょうか?って言ってきたんだよ?なんだろうこの気持ち。今まで感じたことがない」

「普通だったら日本人なら日本人に頼んだりしてさ、『自分たちの写真を撮ってください』っていうじゃん?だけども、向こうから『写真を撮りましょうか?』って言ってきてくれるの、ホントありがとうって思う。しかも外国人がだよ?見知らぬところで見知らぬ人に声をかけるの相当な勇気が必要だと思うよ」

「行動さえすれば誰でも幸せにできる嬉しさ。これがこんなにいいものだったなんて。あー!ホントマジで嬉しい!今までの俺らの嬉しさと言えば、パチンコやスロットで勝ったり、レアな演出見たりだけど、この嬉しさはお金じゃ買えないよね」

そんな話をしながら頂上から降りる。降りる。

途中、山登りに慣れていそうな団体とすれ違いざまに「こんにちは」と言われ、ここでもまた感動をする。

ヤマノススメでも言ってたもんな。すれ違う時に挨拶は基本だって」

「山を登る人間ってあったかい…。やばい、嬉しすぎて涙出そう」

下りは本当に早く感じた。登っていた時の辛い時間は本当に長かった。

「こうやって来た道を戻ってる感じって『ハウスオブザデッド』に似てない?」

「ふくwドリキャスでテレビ壊れるぐらいやったなーw」

もう愚痴は出てこない。出てくるとすれば「あの時募金してなければ飲み物一つ買えたのにwwwwww」と、愚痴が笑い話に変わった。

愚痴も疲れも吹き飛び、笑いながら無事に下山。

汗で気持ち悪いので、近くの温泉でのんびりとお湯に入りながら今日の感動を再確認していました。

「山は全てを知っている。山は人間性が出てくる」

「山に登るのが趣味の人の気持ちが分かった。これはハマる」

「今まで俺らはインドア派だったけど、根っこの部分ではこういうのを求めていたんだろうな」

「今回は山登りにタオル忘れたり、汗をこんなにかくとは知らなかった。おかげで着替えも持ってきていない。だけどこれは失敗じゃない。経験だ。次に生かすことができれば失敗じゃない」

「ホント楽しかった。またやっていこうよ」

 「またヤマノススメみて山決めよう」

ヤマノススメがあったからこそいい経験ができた。

ありがとうヤマノススメ。ありがとう原作者のしろさん。

 

 

 

最後に、友達が言っていた今日一番の名言(略して今日イチ)

 

「終わったら、また始めればいい。」

 

使いどころは特にないけども、とてもそれっぽい。でも、いろいろと応用して使える言葉。自分に言い聞かせるにも丁度いい便利な言葉。深く考え込まず、やっていけばいいんです。


そんな感じの高尾山に登った2018年7月7日だった。